介護四方山話(かいごよもやまばなし)

介護制度・概要・歴史・課題・将来などを綴っていきます!

介護保険制度

概要

高齢化や核家族化の進展等により、要介護者を社会全体で支える新たな仕組みとして2000年4月より介護保険制度が導入された。日本の制度は、おおむねドイツの介護保険制度をモデルに導入されたと言われている。介護保険料については、新たな負担に対する世論の反発を避けるため、導入当初は半年間徴収が凍結され、2000年10月から半額徴収、2001年10月から全額徴収という経緯をたどっている。

制度の目的の一つに社会的入院の解消があり、在宅介護(居宅介護)を促す意図があった。実際には24時間サービスを提供する介護職の不足などから重度要介護者の在宅介護は困難なことが多い。また、年々増える要介護高齢者の増加もあり「入所施設の不足」が、制度導入以来解消されていない課題となっている。

介護サービスの利用にあたって、まず被保険者が介護を要する状態であることを公的に認定(要介護認定)する必要がある。これは、医療機関を受診した時点で要医療状態であるかどうかを医師が判定できる健康保険と対照的である。要介護認定は認定調査の結果をもとに保険者によって行われ、要支援1・2、要介護1〜5の7つの段階に分けられる(法律上、要支援認定と要介護認定は区別され、要支援の場合、利用できる介護サービスが限定される)。これをもとに、どのような介護サービスを組み合わせて利用するかコーディネイトするのが介護支援専門員(ケアマネジャー)である。

具体的には、要介護者の家族にとって、実際に介護がはじまるまでに、慣れぬ者にとっては煩雑な事務手続きと、数週間の手続き期間が必要である。介護保険を利用したいと思う者またはその家族は、まず自治体に対し、介護保険制度の要介護認定の申請が必要で、主治医の意見書が必要となる。認定調査員が介護の必要な本人に面接し、実際に介護を要することを確認し、調査報告書を認定審査会に提出する。認定審査会は通常複数の医師や保健福祉関係者によって構成されている。認定審査の結果、要介護度(たとえば要介護3)や介護保険負担限度額の認定が行われ、「要介護3」などと記入された介護保険被保険者証が発行される。それを持って、ケアプランを作成できる事業所へ連絡すれば、介護支援専門員が介護プランをたててくれる。それによって、介護保険サービスが受けられる。実際に介護が開始されるまでに家族が接触する、市町村の職員、医師、市町村の調査員、介護施設(介護サービス事業者)のケアマネージャーのどれも直接に介護に携わるわけではなく、介護サービス事業者の介護士や看護師が介護支援の担い手である。

健康保険の場合、医療機関でただちに健康保険を利用した医療が受けられるのと違い、いきなり介護施設(介護サービス事業者)に行っただけでは、介護保険を利用した介護は受けられない。まず保険者による要介護認定が必要で、そのような仕組みにより保険財源の使用に制限を設けている。

介護サービス事業者については、厚生労働省により開設基準が定められており、都道府県から指定を受ける必要がある。介護サービス事業者は、利用料の1割を利用者から徴収し、残り9割を各都道府県に設置されている国民健康保険団体連合会へ請求し、給付される。国民健康保険団体連合会は9割の給付費を保険者から拠出してもらい運営する仕組みとなっている。

保険者

保険者は原則として市町村及び特別区であるが、厚生労働省が広域化を勧めてきたことから、広域連合や一部事務組合で運営されているケースも多い。保険者が小規模であるほど、予防による財政効果が目に見えやすいが、安定した経営が難しい。

被保険者

満40歳以上の者が被保険者となる。65歳以上を第1号被保険者といい、40歳から65歳未満の医療保険加入者を第2号被保険者(医療保険に加入していない者(例:生活保護法による医療扶助を受けている場合など)は第2号被保険者ではない)という。原則として保険者(市区町村又は広域連合)の区域内に住所を有する者を当該保険者の被保険者とする。

適用除外施設

法律で定める特定の施設に入所している者は介護保険の適用を受けない。これらの施設を適用除外施設といい、その設立又は設置の根拠となる法律等において介護サービスと同等なサービスを提供することが予定されているため、重ねて介護保険制度によるサービス提供をする不都合を回避するために規定されている。

住所地特例

ある被保険者が別の保険者の区域内にある住所地特例施設に入所した際に、その施設に住所を移した場合、引き続き従前の保険者の被保険者となる。施設に他の保険者の被保険者が入所することにより給付費の負担増とならないようにするために設けられている措置。

財源

介護給付費の財源は、公費と保険料で賄われ、その比率は50%ずつである。 財源の内訳は、原則、国25%、都道府県12.5%、市区町村12.5%、第1号被保険者保険料(以下「第1号保険料」)19%、第2号被保険者保険料(以下「第2号保険料」)31%(2006年(平成18年) - )である。当初は国50%、都道府県25%、市区町村25%であった。

第1号保険料と第2号保険料の比率は人口構成比により政令によって規定される。

(参考)
2000年(平成12年)度 - 2002年(平成14年)度 第1号保険料(17%) 第2号保険料(33%)
2003年(平成15年)度 - 2004年(平成16年)度 第1号保険料(18%) 第2号保険料(32%)

国の25%のうち5%部分については調整交付金として交付される。これは要介護となるリスクが高い後期高齢者加入割合や各保険者内の高齢者の所得格差を調整するものである。自治体関係団体は調整交付金を25%の外枠にするように求めている。

2006年(平成18年)の改正で、介護保険施設にかかる費用費に関して国20%、県17.5%と負担割合を調整している。給付費が大きくなる介護保険施設の指定・開設権限が都道府県にあるため権限者が負担すべきという考え方の現れである。

保険料

保険料額 

第1号被保険者の介護保険料は3年に1度策定される介護保険事業計画における介護サービスの供給量等に基づき、保険者毎に基準の保険料が設定され、被保険者の所得状況等に応じて、課せられる。現在の全国平均月額(第4期、2009年(平成21年) - 2011年(平成23年)度)は4,160円であり、北海道平均月額は3,984円である(第3期、2006年(平成18年) - 2008年(平成20年)度は4,090円、第2期、2003年(平成15年) - 2005年(平成17年)度は3,293円)。 第2号被保険者の介護保険料は、全国の給付状況に基づき、国が各医療保険者毎の総額を設定し、それに基づき医療保険者毎に額を設定する。

徴収方法

第1号被保険者は原則として、年金(社会保険庁等)からの特別徴収となる(特別徴収ができない場合は普通徴収)。特別徴収された保険料は社会保険庁等を通じて、保険者に納められる。 第2号被保険者は、加入している医療保険の保険料と併せて徴収される。

住所地特例施設 

  • 介護保険施設(指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設)
  • 養護老人ホーム、特定施設(地域密着型特定施設を除く)(2006年(平成18年)4月法改正により追加)

給付の種類

保険給付の種類として介護給付と予防給付が主な柱である。介護給付は要介護認定を受けた者が受ける給付であり、予防給付は要支援認定を受けた者が受ける給付である。また、市町村が条例により独自の給付(市町村特別給付)をすることも可能である。

第1号被保険者は、介護(寝たきりなどで入浴・食事や排泄などの日常生活動作への介護)や支援(家事や身支度などの日常生活での支援)が必要な時、介護保険を適用してのサービスが受けることができる(自己負担1割)。

第2号被保険者は、特定疾病のために介護が必要になった場合に、介護保険のサービスを受けることができる。

問題

介護保険が始まった2000年度意から2009年度末までに、介護報酬の架空請求・水増し請求で市区町村が返還を求めた金銭は98億円に上っていて、なおかつそのうち10億円以上が回収できていないことが、2011年2月に分かった。また、2009年度に介護報酬の不正請求などで行政処分を受けた介護事業所は150以上に上っている。

介護サービス事業者の種類

介護サービス事業者(かいごサービスじぎょうしゃ)は、介護保険法に基づく介護保険事業者と介護保険外事業者に分けられる。加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となったもの(要介護者等)に対し、これらの者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービス(総称して介護サービスという)を提供する事業者。

介護保険法では、在宅の要介護者等に対し介護サービスを提供する#指定居宅サービスと、要介護者を入所させて介護サービスを提供する#介護保険施設が定義されているが、これらを包括した概念である介護サービス事業者は定義されていない。

 

指定居宅サービス

現在、高齢化率が約22%にあたり、居宅サービスを受けている者は約65%。2055年には団塊世代が高齢者となり、高齢化率40.5%という超高齢社会になると言われている。介護保険制度もサービスにおいて度々改正されている。(数値は2011年までのデータ参照)

訪問介護事業所

訪問介護員(ホームヘルパー)が居宅を訪問して、入浴、排泄、食事等の介護等、日常生活上の世話、掃除、洗濯、通院等のための乗車又は降車の介助等を行う(通院等のための乗車又は降車の介助のみのサービスは認められない)。
サービス内容により、身体介護、生活援助、通院等乗降介助の3つに分類される。

訪問入浴介護事業所

看護職員や介護職員が居宅を訪問して、浴槽を提供して3名が1チームとなり入浴の介護を行う。(3名1チームのうち、看護職員1名と介護職員2名で行う場合と、介護職員が3名で行う場合とがある。)

訪問看護事業所(訪問看護ステーション)

医師の指示に基づき看護職員が自宅療養している人を定期的に訪問し、健康チェックや療養の世話・助言などを行う(訪問看護)。

訪問リハビリテーション事業所

医師の指示により理学療法士や作業療法士言語聴覚士等が居宅を訪問して、理学療法、作業療法、言語療法その他の必要なリハビリテーションを行う。

通所介護事業所(デイサービス)

通所介護施設等に通い、健康チェック、入浴、食事、リハビリの提供等の日常生活上の世話、機能訓練を行う。
平成18年4月より中重度者、医療依存度の高い方が利用できる「療養通所介護」もある。
地域密着型介護サービスには認知症対応型通所介護と言う認知症専門の通所介護がある。

通所リハビリテーション事業所(デイケア)

要介護認定者等が介護老人保健施設、病院、診療所等に通い、要介護認定者等に理学療法、作業療法、その他必要なリハビリテーションを行う。

短期入所生活介護事業所(短期入所療養介護と共に「ショートステイ」という)

要介護者等が老人短期入所施設等に短期間入所(宿泊)し、当該施設において、要介護認定者等に入浴、排泄、食事等の介護、その他日常生活上の世話、機能訓練を行う。一部事業者では、担当者の気分次第による受け入れ等を行っている施設も存在する(系列居宅介護支援事業所を優先的に扱う等)

短期入所療養介護事業所

要介護認定者が介護老人保健施設、療養型病床群等に短期間入所(宿泊)し、当該施設において、要介護認定者等に看護、医学的管理の下における介護、機能訓練その他必要な医療および日常生活上の世話を行う。

小規模多機能型居宅介護事業所

平成18年4月の介護保険制度改正により創設された、地域密着型サービスのひとつ。介護が必要となった高齢者(主に認知症高齢者)が、今までの人間関係や生活環境をできるだけ維持できるよう、「通い」を中心に「訪問」「泊まり」の3つのサービス形態が一体となり、24時間切れ間なくサービスを提供できるのがその大きな特徴。認知症高齢者による利用が中心になるが、認知症の有無を問わず、利用可能。

(利用定員)1事業所あたりの登録定員25名以下、「通い」の1日当たり定員15名以下、「泊まり」の1日当たり定員9名以下の利用が出来るが、登録者しか利用できず、小規模多機能居宅介護登録者は他の介護サービスは、訪問看護、福祉用具貸与、訪問リハビリテーション以外は利用できない。

小規模多機能居宅介護登録者は、介護保険の利用料が包括的定額料金なので、介護度別に月額利用が定額になり、利用回数も包括的利用になり利用限度数も365日の介護計画によって必要な回数利用できます。だからと言って、他の介護サービス同様に利用できるということでなく、登録者25名で施設の短期宿泊や通所を譲り合いながら利用する介護サービスとなっている。

25名の登録者のうち、同じ利用者が長期に宿泊ベッドを利用しては短期宿泊として目的をなくしたり、介護計画に必要性がないから宿泊者が一ヶ月居なかったりすると小規模多機能の目的を果たしていない場合がある。

利用料が定額なので何回も使えると思ったけど、他の登録利用者との譲り合いなど地域で暮らす付き合いが出来ないと利用しにくいサービス。

報酬も低額な分、運営する法人が少なく市町村によって事業所数もバラツキがあるのが現状。

近年、男女関係無く、介護用ベッドでない、ソファーベッドなどでプライバシーの無い雑魚寝や夜勤者の配置の労働時間を無視したり、消防設備がなかったりと問題になり、東京都が平成23年に宿泊デイサービス規制を行っている現状がある。小規模多機能型居宅介護としてもサービス像を示していく上で将来的な課題ともいえる。

認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)

認知症の状態にある要介護者について、その共同生活を営むべき住居において、入浴、排泄、食事等の介護等の日常生活上の世話及び機能訓練を行う。
グループホームは、居宅サービスでもなく施設サービスでもなく地域密着型サービスである。

特定施設入居者生活介護事業者

介護対応型の有料老人ホーム、養護老人ホーム(外部サービス利用型のみ)、軽費老人ホーム(ケアハウス)、適合高齢者専用賃貸住宅に入所している要介護者等について、居宅サービスに位置付けられており、入浴、排泄、食事等の介護、その他の日常生活上の世話、機能訓練及び療養上の世話を行う。居宅療養管理指導以外の居宅サービスとの重複利用はできない。

福祉用具貸与事業所

福祉用具専門相談員を有し、厚生労働大臣が定める福祉用具の貸与を行う。

居宅介護支援事業所

居宅介護支援事業所に所属する介護支援専門員(ケアマネジャー)が居宅サービス計画(ケアプラン)を作成し、それに基づき介護サービスの提供が確保されるように各介護サービス事業所との連絡調整を行う。要介護者が介護保険施設に入所する場合に介護保険施設への紹介を行う。他の介護サービス事業者と異なり、要介護と認定された人に対するケアプラン作成の費用は全額介護保険から給付される。

介護保険施設

指定介護老人福祉施設

施設サービス計画に基づき、可能な限り、居宅における生活への復帰を念頭に置いて、入浴、排泄、食事等の介護、相談及び援助、社会的生活の便宜の供与その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることを目指した施設。

介護保険制度の施行により、老人福祉法による特別養護老人ホームが介護保険法の指定施設となったものである。現在も施設の固有名称としては、特別養護老人ホームというのがほとんどである。

これは、例えば高齢者虐待が生じたケースの場合、老人福祉法を根拠法として行われる行政処分である「措置」による入所利用が可能性として残されているからで、より範囲の広い特別養護老人ホームという呼称を用いている事情がある。一般的な略称は「特養」。

介護老人保健施設

施設サービス計画に基づき、可能な限り、居宅における生活への復帰を念頭に置いて、入浴、排泄、食事等の介護、相談及び援助、多少のリハビリや医療等を通して機能訓練、健康管理等を行い入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることを目指した施設。指定介護老人福祉施設との違いは、リハビリスタッフや看護師、医師等の配置基準が指定介護老人福祉施設より多い。またそれに伴い指定介護老人福祉施設より多少料金は高く設定されている。尚、リハビリ等が指定介護老人福祉施設より充実していることで、より在宅復帰を念頭に置いているため、入所期間は指定介護老人福祉施設と違い終身制ではないこと等が挙げられる。

一般的な略称は「老健」。

介護保険施設の中で老人保健施設に「指定」とつかないのは、介護老人保健施設の開設根拠が介護保険法中に規定されているため、改めて指定を受ける必要がないからである。

指定介護療養型医療施設

一般病院等での集中治療は既に必要ないが、在宅に戻るには医療依存度の高い患者が入院する施設。患者の医療依存度は、指定介護療養型医療施設>介護老人保健施設>指定介護老人福祉施設という順になり、患者の医療依存度によりどこの施設が適当かを考える必要がある。あくまでも介護保険適用の施設のため、名のとおり治療というより療養が必要な患者が入院する施設となるが、一般的に病院に併設されている形態をもつ。

指定介護療養型医療施設という介護保険上の類型は2011年度末で廃止され、2012年度以降は介護保険が適用される入所施設は指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)と介護老人保健施設の2類型となることが予定されている。

介護老人保健施設における包括医療について

介護老人保健施設入所中の医療は原則包括医療になる。例えば療養上必要な処方薬等は、原則として介護保険からの給付になる。介護老人保健施設は、「症状が安定期にある」ことが入所条件の一つとなっているので、他の病院等に受診することは「通常ではない状態」として扱われる。そういう趣旨の受診を行うときも一定のルールあり、当該利用者入所先の介護老人保健施設の医師が、受診先の医師に診療情報提供書を添えることが必須の事項となっている。また受診先の病院は、原則として処方箋を発行することができない。介護老人保健施設入所中の利用者がこのように入所先以外の医療機関に受診することを他科受診と呼んでいる。

現行制度では、当該医療の自己負担分1割分(ないし3割)を、受診をした当該利用者が負担し、その他の受診に関わる費用の残りの分は施設が負担することになっている。 これには例外もあり、厚生労働大臣が定める基準により、診療報酬が例外的に算定できる場合もある

介護保険外事業者

自治体委託事業者

介護保険の適用にはならないが地方自治体がサービス事業について一定水準を満たすと認め、在宅給付を行う基準該当介護サービス事業者。
例えば

  • 配食サービス事業者
  • 介護用品(おむつ等)事業者
  • クリーニング事業者
  • 訪問理容・美容事業者
  • 住宅リフォーム事業者
  • タクシー事業者

地方自治体によって福祉予算は異なるため、介護サービスも異なる。

 

民間住宅事業者

民間の高齢者向けに作られた賃貸住宅、通称、高専賃(高齢者専用賃貸住宅)が増えている。2009年には寝たきり高齢者専用賃貸住宅(寝た専賃)を名乗る住宅も開設した。民間は概して入居費用は高額である

訪問介護員(介護ヘルパー)

訪問介護員(ほうもんかいごいん、英: Carer, Caregiver, Home Helper)は、介護保険法において訪問介護を行う者のこと。通称ホームヘルパーまたはヘルパー。

概要

訪問介護員は、都道府県知事の指定する『訪問介護員養成研修』の課程を修了した者をいう。介護保険法第8条第2項において介護福祉士と共に、介護行為を許された『その他政令(介護保険法施行令)で定める者』。かつては家庭奉仕員と呼ばれ、現在は一般にホームヘルパーと呼ばれている。ホームヘルパーは講習を受け修了した者に与えられる認定である。国家資格ではない。実際の修了書は、講習施行者により発行される。

厚生労働省は2005年、介護に携わる者の資格を介護福祉士に一本化する方向を打ち出したが、2011年12月現在も需要に対し供給が追いついておらず、2級以上のホームヘルパーの需要は依然として高い。介護業務に従事している介護福祉士の数に対し、潜在的有資格者と呼ばれる介護福祉士のほうが多いと言われており、ホームヘルパーを含め介護職に対する賃金の引き上げが求められている。ホームヘルパーの上位資格として介護福祉士があり、現在上位資格として『認定介護福祉士』制度が日本介護福祉士会で検討されるなど、介護職員のキャリアパスが順次形成されている過程にある。2007年から介護基礎研修が始まり、1級課程は2012年をめどに廃止が予定されている。

尚、厚生労働省は、介護職員の研修体系見直しとして予定していた『訪問介護員2級養成研修』に代わる『介護職員初任者研修』について、2013年度からスタートさせることを決めた。また、2006年度から始まった『介護職員基礎研修』も2012年度末までで廃止し、改正社会福祉士及び介護福祉士法で導入する『実務者研修』に一本化する。これにより、2013年度より『訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修』は存在しなくなる(但し、資格そのものは存在することになる)。

 

資格取得

研修概要

ホームヘルパーは講習を受け修了した者に与えられる認定である。国家資格ではない。講習課程には1~2級がある。

一般に2級課程から取得する者が多い。これは、2級取得者の需要が多いため

ホームヘルパーは、厚生労働省が認定した講習事業者が講習を行い、事業者から修了証が渡される。よって、良い面でも悪い面でも、その事業者に影響をうける

都道府県によっては2級・1級資格取得のための『達成度測定』といわれる復習テストが行われる場合がある。

 

業務の内容

  • 2級取得者…訪問介護において身体介護・家事援助ができる。取得後実務経験3年以上(1級養成講習受講資格および介護福祉士受験資格付与)でサービス提供責任者もできる。また、老人施設においても、身体介護が出来る。
  • 1級取得者…訪問介護事業所においてサービス提供責任者として、後輩の育成指導、利用者とヘルパーとのコーディネート等ができる。

2級以上の資格者は自動的に福祉用具専門相談員となる他、ガイドヘルパー(知的障害者専門)の資格も付与される(視覚障害者、全身性身体障害者のガイドヘルプは別途講習受講が必要 全ての障害者について認める地域もあり、自治体毎の方針により異なる)。

訪問介護員資格の研修
課程 研修内容 受講対象者 時間
3級課程(2009年に廃止) ホームヘルプサービス事業従事者の入門研修 勤務時間の少ない非常勤ヘルパー、福祉公社の協力会員、登録ヘルパー等としてホームヘルプサービス事業に従事する者又はその予定者 050時間
2級課程 ホームヘルプサービス事業従事者の基本研修 ホームヘルプサービス事業に従事する者又はその予定者 130時間
1級課程 チーム運営方式の主任ヘルパー等の基幹的ヘルパーの養成研修 2級課程修了者で、業務経歴の規定等を満たしている者(研修機関の属する地方自治体により規定される) 230時間
継続養成研修 1級課程修了者の資質の維持・向上に必要な研修 1級課程修了者  
養成研修の特例
  • 通常、訪問介護員(ホームヘルパー)1級養成課程を受講しようとする場合は、訪問介護員2級資格を持った上で社会福祉法人などで運営される老人施設で実務経験を規定年積んでから受講しなければならないという制約があるが、一部自治体では特例で訪問介護員2級資格を持っていれば実務経験の有無に関わらず、自治体で行われる訪問介護員1級養成課程を受講する事が出来る。

 

研修科目

2級
  • 講義
    • 福祉サービスの基本視点、社会福祉の制度とサービス、ホームヘルプサービスに関する知識、サービス利用者の理解、介護に関する知識と方法、家事援助に関する知識と方法、相談援助とケア計画の方法等
  • 実技
    • 共感的理解と基本的態度の形成、基本介護技術、ケア計画の作成と記録・報告の技術等
  • 実習
    • 介護実習、ホームヘルプサービス同行訪問、在宅サービス提供現場見学
1級
  • 講義
    • 社会福祉関連制度とサービス、介護方法と技術、チームケアとチームワーク等
  • 実技
    • ケアマネージメント技術、指導技術と介護技術の向上等
  • 実習
    • 痴呆性高齢者等処遇困難事例対応実習、デイサービスセンター実習、チーム運営方式業務実習、訪問看護同行訪問、在宅介護支援センター職員との同行訪問等

介護福祉士

介護福祉士
英名 Certified Care Worker
略称 CCW
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 教育・教養、福祉・医療
保健・衛生、介護・家政
試験形式 マークシート・実技
等級・称号 介護福祉士
公式サイト http://www.jaccw.or.jp/
特記事項 職能団体:日本介護福祉士会
 
 

介護福祉士(かいごふくしし、英: Certified Care Worker)は、社会福祉、精神保健福祉士と並ぶ福祉の国家資格(通称:三福祉士)のひとつで、『介護等』に関わるケアワーカーの国家資格である。1987年(昭和62年)の社会福祉士及び介護福祉士法により福祉の『相談援助』に関わる国家資格である社会福祉士と共に創設された。

概要

介護福祉士は介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう(社会福祉士及び介護福祉士法第二条第二項)。名称独占資格の一つである。

介護福祉士の活動場所としては、特別養護老人ホーム、デイケアセンターや障害福祉サービス事業所、その他の社会福祉施設があげられる。また、在宅で生活している要介護者の自宅に通って援助する訪問介護員(ホームヘルパー)にも介護福祉士資格は有用である。
社会福祉士がソーシャルワーカーという英語名でも呼ばれるように、介護福祉士についてもケアワーカーという和製英語での呼び方をすることもある。

今後は、この職種の専門性を深めていくこと、他の医療、看護、リハビリテーションなどの職種との連携、相互理解などその職域の発展のためなされなければならないことが多い。介護福祉学会も誕生し、介護福祉学といった専門分野もその産声を上げた。しかし、介護福祉士の資格を取得してもその社会的地位は看護師と同等とは言い難く(例えば厚生労働省が定めたグループホームの人員配置には看護師はあるが介護福祉士の規定はない等)、その業務内容が苛酷であることから離職率が高い。

2005年(平成17年)、国は介護に携わる者の資格を介護福祉士に一本化する方向を打ち出した。しかし、現在も需要に対し供給が全く追いついていない状況であり、都道府県の認定資格である訪問介護員2級等の需要は依然として高い状況とも言われている。これは 現行制度では 介護福祉士資格は、福祉系大学・福祉系専門学校・その他の課程を修了すれば、国家試験を受験する必要がなく与えていたこと、また学校等で資格を取得してきても福祉の仕事には就かない人が多いことに起因する。

国は介護福祉士の処遇を改善させるために、介護報酬引き上げの措置を行った。

  • 学士を持たない人が福祉研究のため大学院に個別入学資格審査できる資格である。

取得方法

1・厚生労働大臣の指定する養成施設を修了し登録名簿に登録する

2・介護実務経験3年以上で介護福祉士国家試験に合格し登録名簿に登録する

3・高等学校又は中等教育学校(それぞれ専攻科を含む)において、福祉に関する所定の教科目(若しくは科目)及び単位数を修めて卒業し介護福祉士国家試験に合格し 登録名簿に登録する

(なお、介護福祉士国家試験は合格基準が問題の総得点の60%程度を基準(絶対評価)としている)

取得方法については、2011年(平成23年)より厚生労働大臣が指定する養成施設を修了し名簿登録する取得方法が廃止され、2012年(平成24年)からは介護の実務経験3年の者は600時間の研修を受講することが義務づけられ、取得を希望する全ての者に筆記試験(マークシート形式)は受験しなければならない方向で検討が進んだ(実技試験は免除事項あり)。しかし,平成24年度(第25回)国家試験から実施予定だったのを更に3年遅らせ、平成27年度(第28回)国家試験からの実施となった。(第177回国会 閣法 177回50号『介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案』成立)

国外からの介護福祉士受け入れ

日本政府はタイとのFTA(自由貿易協定)終結に伴い、タイ国介護福祉士有資格者を受け入れるかどうか検討を行うことになっている。

(関連資料 - 日タイ経済連携協定(付属書7 自然人の移動に関する約束))

実施された規制緩和

  • 日本政府はフィリピンとのEPA(経済連携協定)で、フィリピン共和国国家資格の介護福祉士が日本の介護施設への受け入れの方向で合意され、厚生労働省は人数の上限を設けて受け入れることとした。調印は2006年9月9日に行われるも、フィリピン側の批准が遅れており、2009年度以降にずれ込む予定。人数枠は2年間で1,000人(看護師400人、介護福祉士600人)。

(関連資料 - 日・フィリピン経済連携)

  • 日本とインドネシアとの経済連携協定(EPA)の調印が2007年8月20日に行われ、日本の国家資格の取得のための必要な知識及び技術の習得を目的とした介護士候補者の受け入れ、資格取得後の就労が可能となった。2008年4月17日の衆議院本会議で可決。同年7月に看護師候補者200人、介護士候補者300人が入国する見通し。EPAを活用して外国人労働力を受け入れる初めての事例となる予定。人数枠は2008年度から2年間で合計1,000人(看護師候補者400人、介護福祉士候補者600人)。介護士候補者は日本の受入先介護施設で3年間の介護実務経験を経て日本の国家試験に合格すれば介護福祉士として日本で働き続けられる。しかし、働きながら滞留の認められる短い期間のうちに試験に合格できる可能性はきわめて低く、看護士では来日した研修生のうち、試験に合格した者は数えるほどという矛盾を生み出している。
  • 2009年4月14日より韓国からインターン300人を受け入ることになっており、人材派遣側の釜山市は毎年300人以上を日本で就業させることを目標としている[1]

受験機会の拡大を行うよう総務省が斡旋

現在、介護福祉士国家試験の実施は年1回である。これに対し、総務省行政評価局が、「介護福祉士の確保・育成を推進する観点から、介護福祉士国家試験について、試験の実施回数や試験実施都道府県数を増やすなど受験機会の拡大について検討することが必要」(2007年8月6日「介護福祉士国家試験の受験機会の拡大」)との内容を厚生労働省に対し斡旋している。

筆記試験の試験地は、平成19年に埼玉県、千葉県、神奈川県、新潟県、京都府、兵庫県、岡山県、平成21年に岩手県、岐阜県、愛媛県、熊本県が追加されたものの、厚生労働省はいまだに試験回数の改善を行わず、総務省のあっせんは放置(事実上無視)された状態となっている。

介護の日

11月11日(「いい日、いい日」に掛けている)

介護支援専門員

介護支援専門員(かいごしえんせんもんいん)は、介護保険法において要支援・要介護認定を受けた人からの相談を受け、居宅サービス計画(ケアプラン)を作成し、他の介護サービス事業者との連絡、調整等を取りまとめる者。通称ケアマネジャー。略称ケアマネ。准看護士資格と同様、都道府県知事から資格が与えられる公的資格である。

概要

介護保険法第7条第5項に定める介護支援専門員は居宅介護支援事業所・介護予防支援事業所・各介護老人福祉施設等に所属する。

利用者の介護全般に関する相談援助や関係機関との連絡調整を行うが援助の流れは、利用希望者、家族はどのような介護サービスの希望をするか面接(インテーク)、どのような介護サービスが必要かを査定(アセスメント)、介護保険が利用できるようにサービス計画、個別支援計画を作成(プランニング)する。そしてサービスの利用開始後も提供されている介護サービスが適切か否かを定期的に評価(モニタリング)して要介護者と介護者の状況に合わせて再びアセスメント、プランニングをおこなう。

  • 文字で書く時は『ケアマネジャー』と記載するが、声に出して読む際は『けあまねーじゃー』(「マネ」と「ジャー」の間は伸ばして読む)とすることが定められている。
  • 通信教育のホームページや書店に販売されている資格本、個人ブログにて資格種別が国家資格・国家試験としている業者または個人がいるが間違いである。正しくは公的資格に属し、試験も国が都道府県と第三者に試験業務委託してはしない。各都道府県が管轄、実施していて国家試験とはならない。

資格取得

介護支援専門員として登録・任用されるには都道府県の実施する「介護支援専門員実務研修」を受講する必要があり、研修を受講するために「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格しなければならない。 受験資格には下記の法定資格などで5年以上の実務経験が必要とされる。

社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む。)

又は相談援助業務に従事する者で社会福祉主事任用資格、訪問介護員養成研修2級課程に相当する研修を修了した者

上記の資格または研修修了の資格がない場合は所定の福祉施設での介護等に従事した期間が10年以上の者

平成19年度より、介護支援専門員としての登録については、5年毎に所定の研修を受けることで登録を更新する更新制度が導入されることになった。 毎年10月に試験は開催され、第1回は合格率5割弱であったが、その後、ケアマネージャーの供給過剰もあり年々逓減し、2011年第14回試験では15%まで合格率は低下した。

 

研修科目

介護支援分野
  1. 基本視点
  2. 介護保険制度
  3. 要介護・要支援認定特論
  4. 介護支援サービス機能・要介護認定方法論
保健医療福祉サービス分野
  1. 高齢者の身体的・精神的特長と高齢期の疾病・障害
  2. 訪問介護方法論
  3. 通所介護方法論
  4. 短期入所生活介護方法論
  5. 福祉用具、住宅改修方法論
  6. 指定介護老人福祉施設サービス方法論
  7. 公的サービス、社会資源導入方法論

障がい者自立支援法

障害者自立支援法(しょうがいしゃじりつしえんほう、平成17年法律第123号)は、「障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができる」ようにすることを目的とする日本の法律である。

法律概要

従来の制度と比較して、障害に対する継続的な医療費の自己負担比率が、5%から10%に倍増した。狙いは、少子高齢化社会に向け、従来の支援費制度に代わり、障害者に費用の原則1割負担を求め、障害者の福祉サービスを一元化し、保護から自立に向けた支援にある。また、同時に国の財源負担義務を課している。

歴史

  • 2005年(平成17年)
    • 2月10日、法律案が閣議決定される。
    • 7月13日、衆議院厚生労働委員会にて可決。衆議院本会議で可決。
    • 8月8日、参議院に送られるも、郵政民営化に伴なう衆議院解散により、一端廃案となる。
    • 10月14日、参議院本会議を通過
    • 10月31日、衆議院本会議において自由民主党、公明党の賛成多数により可決、成立
  • 2006年(平成18年)4月1日、一部施行、同年10月1日に本格施行
  • 2009年(平成21年)
    • 3月31日、厚生労働省が障害者自立支援法等の一部を改正する法律案を第171回国会に提出
    • 7月21日、衆議院解散
    • 9月19日、民社国連立政権・鳩山内閣の長妻昭厚生労働大臣は同法の廃止を明言
    • 12月8日、内閣に障がい者制度改革推進本部を設置 
  • 2010年(平成22年)
    • 4月1日、低所得(市町村民税非課税)の障害者等につき、福祉サービス及び補装具に係る利用者負担無料化
    • 12月3日、第176回国会にて、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律(通称、障害者自立支援法改正案)が成立

法律立案者のねらい

  1. 障害者の福祉サービスを「一元化」
    サービス提供主体を市町村に一元化。障害種別(身体障害、知的障害、精神障害)にかかわらず障害者の自立支援を目的とした共通の福祉サービスは共通の制度により提供。
  2. 障害者がもっと「働ける社会」に
    一般就労へ移行することを目的とした事業を創設するなど、働く意欲と能力のある障害者が企業などで働けるよう、福祉側から支援。
  3. 地域の限られた社会資源を活用できるように「規制緩和」
    市町村が地域の実情に応じて障害者福祉に取り組み、障害者が身近なところでサービスを利用できるよう、空き教室や空き店舗の活用も視野に入れて規制を緩和する。
  4. 公平なサービス利用のための「手続きや基準の透明化、明確化」
    支援の必要度合いに応じてサービスを公平に利用できるよう、利用に関する手続きや基準を透明化、明確化する。
  5. 増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し支え合う仕組みの強化
    1. 利用したサービスの量や所得に応じた「公平な負担」
      障害者が福祉サービス等を利用した場合に、食費等の実費負担や利用したサービスの量等や所得に応じた公平な利用者負担を求める。
    2. 国の「財政責任の明確化」
      福祉サービス等の費用について、これまで国が補助する仕組みであった在宅サービスも含め、国が義務的に負担する仕組みに改める。

法律の概要

自立支援給付

自立支援医療が適用されると、市町村からこのような受給者証と、自己負担上限額管理表が交付される。自立支援医療を受ける際、その都度これらを医療機関や薬局などに提出する必要がある。写真の受給者証は神奈川県川崎市の物。都道府県・政令指定都市により様式が異なる。
  • 介護給付費 - 9割給付1割原則自己負担
    • 居宅介護
      • 障害者等につき、居宅において入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること
    • 重度訪問介護
      • 重度の肢体不自由者であって常時介護を要する障害者につき、居宅における入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜及び外出時における移動中の介護を総合的に供与すること
    • 行動援護
      • 知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を要するものにつき、当該障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること
    • 療養介護(医療に関するものは除く)
      • 医療を要する障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定めるものにつき、主として昼間において、病院その他の厚生労働省令で定める施設において行われる機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び日常生活上の世話の供与
    • 生活介護
      • 常時介護を要する障害者として厚生労働省令で定める者につき、主として昼間において、障害者支援施設その他の厚生労働省令で定める施設において行われる入浴、排せつ又は食事の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること
    • 児童デイサービス
      • 障害児につき、肢体不自由児施設その他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、日常生活における基本的な動作の指導、集団生活への適応訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること
    • 短期入所
      • 居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設その他の厚生労働省令で定める施設への短期間の入所を必要とする障害者等につき、当該施設に短期間の入所をさせ、入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること
    • 重度障害者等包括支援
      • 常時介護を要する障害者等であって、その介護の必要の程度が著しく高いものとして厚生労働省令で定めるものにつき、居宅介護その他の厚生労働省令で定める障害福祉サービスを包括的に提供すること
    • 共同生活介護
      • 障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること
    • 施設入所支援
      • その施設に入所する障害者につき、主として夜間において、入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること
  • 特例介護給付費 - 9割給付1割原則自己負担
  • 訓練等給付費 - 9割給付1割原則自己負担
    • 自立訓練
      • 障害者につき、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、厚生労働省令で定める期間にわたり、身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること
    • 就労移行支援
      • 就労を希望する障害者につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること
    • 就労継続支援 通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること
    • 共同生活援助
      • 地域において共同生活を営むのに支障のない障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において相談その他の日常生活上の援助を行うこと
  • 特例訓練等給付費 9割給付1割原則自己負担
    以下のサービスにおいて食事の提供に要する費用、居住若しくは滞在に要する費用その他の日常生活に要する費用又は創作的活動若しくは生産活動に要する費用で厚生労働省令で定める費用は支給対象外
    • サービス利用計画作成費
    • 高額障害福祉サービス費
    • 特定障害者特別給付費(一部施設入所者のうち低所得者に対し食費及び家賃を支給する制度)
    • 特例特定障害者特別給付費
    • 自立支援医療費 - 9割給付1割原則自己負担 (食事療養・生活療養については通常生活において必要な費用は除く)
    • 療養介護医療費 - 9割給付1割原則自己負担 (食事療養・生活療養については通常生活において必要な費用は除く)
    • 基準該当療養介護医療費 - 9割給付1割原則自己負担 (食事療養・生活療養については通常生活において必要な費用は除く)
    • 補装具費 - 9割給付1割原則自己負担 所得制限あり

地域生活支援事業

市町村が行うものとされている事業
  1. 障害者等が障害福祉サービスその他のサービスを利用しつつ、その有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、地域の障害者等の福祉に関する各般の問題につき、障害者等、障害児の保護者又は障害者等の介護を行う者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の厚生労働省令で定める便宜を供与するとともに、障害者等に対する虐待の防止及びその早期発見のための関係機関との連絡調整その他の障害者等の権利の擁護のために必要な援助を行う事業
  2. 聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等その他の日常生活を営むのに支障がある障害者等につき、手話通訳等(手話その他厚生労働省令で定める方法により当該障害者等とその他の者の意思疎通を仲介することをいう。)を行う者の派遣、日常生活上の便宜を図るための用具であって厚生労働大臣が定めるものの給付又は貸与その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業
  3. 移動支援事業
  4. 障害者等につき、地域活動支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、創作的活動又は生産活動の機会の提供、社会との交流の促進その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業
都道府県が行うものとされる事業
地域生活支援事業として、相談業務等のうち、特に専門性の高い相談支援事業その他の広域的な対応が必要な事業として厚生労働省令で定める事業を行うものとする。

ピアサポート強化事業

当事者組織や当事者の関係できる部分を市区町村単位で助成する仕組み。

手続

介護給付費や訓練等給付費等市町村に対して申請して支給決定を受ける必要があり、審査会における判定に基づいて障害判定区分を認定し、その障害判定区分、その障害者等の介護を行う者の状況、障害者等又は障害児の保護者の障害福祉サービスの利用に関する意向等を勘案して支給の要否を決定する。なお、これらの処分に不服がある者は都道府県知事に審査請求をすることができ、都道府県は不服審査会を設けることができる。これらの処分についての行政不服審査法による取消訴訟は、審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない(審査請求の日から3ヶ月を経ても裁決が出されない場合等は訴訟を提起できる)。

反対運動

この法律制定前から、障害者団体からの強い反対運動が起こった。

  • 2005年(平成17年)2月16日、東京都港区芝公園にて、この法律の反対運動とデモ行進が行われた

障害者自立支援法違憲訴訟

応益負担の実施により、障害が重い障害者ほどサービスを受けると、結果として受けたサービス分(1割負担)を支払わなければならない。この為、一部の障害者は「日本国憲法第25条で保証された生存権の侵害」として、全国の地方裁判所にて集団訴訟を起こしていた。もし、サービス負担費用が支払えなくなる事態になると、結果として区市町村に対し生活保護の申請をしなければならなくなるという、「障害者の自立」という法の趣旨から逸れる事態になっている。

  • しかし、障害者自立支援法違憲訴訟については、2010年(平成22年)1月7日、原告団・弁護団と厚生労働省が基本合意文書を取り交わし、訴訟は和解へと動き始めている。障害者自立支援法違憲訴訟団は、以下の要望書を鳩山由紀夫内閣総理大臣と長妻昭厚生労働大臣に提出している。4月23日、和解成立。
  1. 障害福祉制度の根本問題
    1. 契約制度のもつ根本的問題の解消
    2. 介護保険優先原則(障害者自立支援法第第7条)の廃止に向けた抜本的見直し
    3. 扶養義務の見直し
    4. 障害者福祉の社会資源の充実、基盤整備
    5. 障害者の所得保障
    6. 社会参加支援の充実
    7. 障害者のニーズにあった補装具支給制度の抜本的見直し
  2. 利用者負担の問題
    1. 障害福祉施策は人権保障として実施されるべきことに鑑みれば、障害があることを理由とする利用者負担をするべきではありません。
    2. 収入認定の見直し
  3. 緊急課題
    1. 実費自己負担の廃止
    2. 報酬支払い
    3. 就労移行支援の期限の廃止
    4. 地域生活支援事業の地域間格差の解消
  4. 当事者参加と検証
    1. 利用者負担を理由に退所していった利用者の実態調査
    2. 新法制定過程の障害当事者の参画
    3. 新法制定過程での私たちの参画
    4. 検証会議の立ち上け

法案成立までの経緯

第162回通常国会
2005年(平成17年)2月10日、衆議院に提出、審議が始まる。衆院審議の過程で与党が修正提案を行い、修正後の7月13日に衆議院本会議で可決された。この時、与党は賛成したが野党は反対した(附帯決議は全会一致で可決)。そのまま参議院に送られ、審議が開始されたが、8月8日に衆議院が解散したため、参議院での審議未了のまま廃案となった。
第162回通常国会における法案に対する衆議院修正には、次のようなものがある。
目的規定の修正
この法律による障害福祉サービスに係る給付その他の支援は、障害者基本法の基本的理念にのっとり行われることが法律の目的規定に明記された。
自立支援医療の施行期日の変更
自立支援医療に関する規定の施行期日が、2005年(平成17年)10月1日
から2006年(平成18年)1月1日に変更された。
検討
この法律の施行後3年を目途として行われるこの法律の規定についての検討に、障害者等の範囲の検討を含むことを明記し、さらに就労の支援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策の在り方についての検討規定を追加することが検討された。
第163回特別国会
2005年(平成17年)10月4日、参議院に提出、審議が始まる。10月14日に参議院本会議で、10月31日に衆議院本会議で可決され、法案が成立した。
第162回通常国会に提出された法案からの変更点は、次のようなものである。
目的規定の修正
「障害者基本法の基本的理念にのっとり」という文が追加された。
検討規定の修正、追加
「障害者等の範囲」について検討することが明記され、「障害者等の所得の確保」に係る検討規定が新たに追加された。
施行期日の変更
利用者負担に係る改正事項について、施行日が2006年(平成18年)1月1日から4月1日に変更された。

平成24年度介護保険法改定について

1 はじめに

最初に過去の改定状況を見てみます。表1にあるように、過去3回の介護報酬の改定が行なわれ、2回は引き下げで21年度は引き上げとなっています。21年度の引き上げに際して3%の引き上げといわれましたが、各サービス別に計算すると、下表のように、在宅は1.7%で、施設は1.3%ということで、3%という数字は出てきません。
二度の引き下げが行なわれる中で、コムスンによる不正請求等の発覚をきっかけに、介護サービス従事者の給与が極めて低いということが表面化しました。その結果、高校生の間に「福祉は3K職場で賃金も低い」が定着し、福祉系の大学等においては学生募集が困難になったことは業界では知られた話です。
皮肉なことですが、その結果、介護人材不足がより顕在化し、介護サービス従事者の待遇改善が課題として政府に認識されたことが、21年度の介護報酬改定に結びついたと思われます。

段落過去の介護報酬の改定状況

表1のように、21年度の3%の改善は、在宅系サービス、施設系サービスの個別事業者の面からみると、直接は関係しない数字です。在宅では1.7%の改善があり、それが満額あったとして、以前の水準と比べて0.8%の改善です。21年度の在宅の引き上げは訪問介護等一部を除き、本体ではなく、主として定められた要件を満たした場合に算定される「加算」によって行なわれています。通所介護などは加算を取らないと以前の水準に回復しないという仕組みになっています。
表1 過去3回の介護報酬改定率(全体)
  平成15年度 平成18年度 平成21年度 平成14年度を100
在宅分 0.1 -1.0 1.7 100.8
施設分 -4 0 1.1 100.1
-2.3 -0.5 3.0 100.1
*平成12~14年度の最初の介護報酬を100とした改定状況は上表のとおりで、21年度の3%の改定後で、在宅分は100.8と0.8%の改善、施設分では0.1%の改善に留まっています。
実際に、各事業者が積極的に加算を算定しているかというと、必ずしもそうではありません。「指定取消」や「返還」がトラウマになっていて、請求に躊躇する事業者も出ています。
○ 加算取得事業所割合 第65回(平成22年3月25日)社保審-介護給付費分科会資料
表2 特定事業所加算
  請求事業所 加算取得事業所数 構成比%
訪問介護 25,639 3,995 15.6
居宅介護支援事業者 31,256 4,771 15.3
平成21年10月請求分
表3 サービス提供体制加算
  請求事業所 加算取得事業所数 構成比%
訪問介護(予防を除く) 7787 3601 46.2
訪問リハ(予防を除く) 3086 2119 68.7
通所介護(予防を除く) 24941 13059 52.4
通所リハ(予防を除く) 6691 5523 82.5
短期入所生活介護(予防を除く) 7538 6634 88.0
夜間対応型訪問介護 92 11 12.0
小規模多機能(予防を除く) 2206 1167 52.9
認知症グループホーム(予防を除く) 9958 6514 65.4
介護老人福祉施設 6157 2194 35.6
介護老人保健施設 3654 3532 96.7
介護療養型医療施設 2063 1733 84.0
*介護老人福祉施設は、日常生活継続支援加算と併せて96.4%
表2及び表3のとおり、在宅系サービスの加算算定率は、特定事業所加算では20%に満たず、サービス提供体制加算でも、相対的に低い状況にあります。
加算を算定した上で在宅系では1.7%引き上げですから、加算を算定していない事業所の場合は、そうはならないわけです。

段落他産業と比較した介護職員の給与水準

次に介護職員の給与は、一般産業の給与と比べて低いということですが、表4のとおりです。
男女別比較では、産業平均を上回るのは、女性の介護支援専門員と看護師のみです。男性は全ての職種で産業計を下回っています。このことが、介護業界の人手不足の一因でもあり、また必要な「人材」の確保が困難な要因でもあると思われます。
また、平成21年度からは「介護職員処遇改善交付金」が介護報酬とは別枠で処置され、一定の効果が上がったと評価されています(後述)。
従事者が安心して働くことができるためには、「生活を営める」、「子育てができる」という条件が満たされていることが不可欠です。安心して働くことができる職場があって、人材は定着し、利用者に対する継続的なサービス向上の取組みが容易になると思われます。
表4 職種別に決まって支給する現金給与額等
  男性 女性
区分 年齢 勤続年数 現金給与額
千円
年齢 勤続年数 現金給与額
千円
産業 計 42 12.8 354.6 39.4 8.6 243.2
職種別内訳            
介護支援専門員 38.3 7 284.6 46.1 7.5 254
(産業計/比率)     0.8     1.04
ホームヘルパー 37.8 3.4 214.6 45.9 5.4 200.2
(産業計/比率)     0.61     0.82
福祉施設介護職員 33.6 5.3 231.5 39.4 5.4 206
(産業計/比率)     0.65     0.85
保育士 31.1 6.3 238.6 33.9 7.6 216.2
(産業計/比率)     0.67     0.89
看護師 35.3 7.3 323.2 36.4 6.8 316.6
(産業計/比率)     0.91     1.3
百貨店店員 40.5 13.9 294.4 39.2 9.9 204.1
(産業計/比率)     0.83     0.84
*平成21年賃金構造基本統計調査(第1回今後の介護人材の在り方に関する検討会資料から)
また、介護人材の不足と雇用環境の悪化を受けて、失業した人や非常勤職員の雇用の受け皿として介護現場が期待されていますが、介護の専門職の水準がそのように認識されていること自体をどのように考えるべきかは難しいところです。
以上のように、24年度介護報酬改正前の介護従事者を取り巻く環境は、依然として厳しい環境下にあると思われます。

段落1 処遇改善交付金の効果

全体として87%強の事業者が、本交付金の申請を行ない、その結果、表5のとおり、給与の改善に結びついたと評価されています。介護職員処遇改善交付金を申請した事業所における介護職員の平均給与額は、平成21年と平成22年を比較すると約15,000円増加しており、本交付金の対象外である介護職員以外の職種についても、約8,500円から約12,000円増加していたと評価されています。
表5 介護職員処遇改善交付金の影響
  平成21年6月 平成22年6月 差額 改定率
介護職員 241,520 256,680 15,160 1.063
看護職員 342,040 350,540 8,500 1.025
生活相談員・支援相談員 301,320 313,560 12,240 1.041
PT.OT.ST又は機能訓練指導員 368,840 379,180 10,340 1.028
介護支援専門員 326,880 337,880 11,000 1.034
注1)平成21、22年とも在籍者の平均給与 *国資料を一部加工
注2)平均給与=基本給+手当+一時金(4~9月給与額の1/6)に常勤換算

段落2 介護報酬改定による介護事業所の収支改善効果

12月24日の会議において、表6のように、事業所の収支改善状況も併せて示されました。一部の事業を除いて全般的に改善傾向にあります。特に22年調査時の改善は他の年と比べて改善率が高くなっています。
事業の継続・存続という観点から見れば、この数字からは、一部の赤字事業を除いて介護報酬の引き上げの必要性は乏しいといえるのではないでしょうか。収支の改善率が単年度で10%を超えている事業については、ことさらそういえるのではないでしょうか。
財政状況が厳しく、新たなニーズへの対応が必要となっている現在、18年度を100として、120を超えている事業所については、場合によっては据え置きか、さらに一歩進めるという考えも出てくると思います。
表6 事業所の収支率の改善状況 調査単位=%
  19年調査 20年調査 22年調査 18年を100
老人福祉施設 4.4 3.4 10.7 119.5
老人保健施設 4.3 7.3 5.7 118.3
療養型医療施設 5 3.2 11.4 120.7
グループホーム 7.7 9.7 13.0 122.6
訪問介護 3.3 0.7 2.4 106.5
訪問入浴介護 -3.5 1.5 6.3 104.1
訪問看護 -3.4 2.7 6.0 105.2
通所介護 5.7 7.3 8.4 122.9
認知症通所介護 -3.3 2.7 0.1 99.4
通所リハビリ 1.6 4.5 2.7 109.0
短期入所生活介護 -1.8 7.0 0.7 105.8
居宅介護支援 -15.8 -17.0 -5.3 66.2
福祉用具 3.1 1.8 16.6 122.4
小規模多機能 -18.5 -8.0 4.4 78.3
*国資料を一部加工
一方、赤字事業としては、居宅介護支援事業は毎年赤字で、18年比で66.2となっています。22年調査では黒字ですが、18年比で赤字の事業として小規模多機能があり、そのほか認知症通所介護もわずかに赤字となっています。
「ペイアズユーゴ-の原則」、財政逼迫という状況から見ると、先の従事者の改善状況からは、一部を除き、積極的な介護報酬の引き上げについての必要性は難しいように思えます。
23年度モデル事業その他の概要

1 介護保険事業(支援)計画の基本的な考え方(地域包括ケアの推進)

段落計画策定の際の地域ニーズの的確な把握について

第5期介護保険事業(支援)計画の作成に当たっては、高齢者が要介護になっても可能な限り住み慣れた地域において継続して生活ができるよう、1.介護、2.予防、3.医療、4.生活支援、5.住まいの5つのサービスを一体化して提供していく「地域包括ケア」の考え方に基づき、取り組むことが重要。
地域包括ケアシステムのイメージ 日常生活圏域(30分で駆けつけられる圏域) 介護・医療・予防・生活支援・住まい
  1. 医療との連携強化
  2. 介護サービスの充実強化
  3. 予防の推進
  4. 見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護等
  5. 高齢期になっても住み続けることができる高齢者住まいの整備(国土交通省との連携)
     
  ○地域包括ケアの実現を目指すため、第5期計画(平成24~26年度)では次の取組みを推進。
  • 日常生活圏域のニーズ調査を実施し、地域の課題・ニーズを的確に把握
  • 計画の内容として、認知症支援策、在宅医療、住まいの整備、生活支援を位置付け
 
     
※24年度改正の目玉は「地域包括ケアシステム」の実現です。これは、社会保障の定義の転換「参加型社会保障(Positive Welfare)」について、当面、高齢福祉の分野で具体化を図ろうとするものと思われます。
コールがあれば、30分以内に駆けつけられるエリアを範囲として「日常生活圏域」を設定し、地域包括支援センター(ブランチを含む。)を整備し、在宅サービスの充実を図ることで、特別養護老人ホーム等の介護施設に入所しないで、地域で暮らし続ける仕組みを作ろうとする試みです。
その実現に向けた第5期介護保険事業計画の策定であり、その計画を実現するための、各種サービスの創設・整備となっています。
第5期介護保険事業計画の作成に当たっては、各日常生活圏域ごとの詳細なニーズ把握が求められるところです。また、関連して、そのニーズに対してサービスを提供する事業者について、地域密着型に関しては、従前の自由参入から公募制へと切り替えることで参入制限を図れる仕組みとなっています。併せて、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスの普及を図ることで、これまで要件を満たせば自由に参入が可能であった訪問介護等の指定について、事前の区市町村との協議を必要とするように、考え方の転換を図っています。
【第5期介護保険事業計画の策定関連】日常生活圏域ニーズ調査(郵送・未回収者への訪問による調査)・どの圏域に・どのようなニーズを持った高齢者が・どの程度生活している 調査項目例・身体的機能・日常生活機能(ADL.IADL)・住まいの状況・認知症状・疾病状況地域の課題や必要となるサービスを把握・分析介護保険事業(支援)計画 これまでの主な記載事項 ○日常生活圏域の設定○介護サービスの種類毎の見込み○施設の必要利用定員○地域支援事業(市町村)○介護人材の確保策(都道府県)など + 地域の実態を踏まえて新たに記載する事項 ①認知症支援策の充実②在宅医療の推進③高齢者に相応しい住まいの計画的整備④見守りや配食などの多様な生活支援サービス
注:新たに記載する事項について、1.については予算化して体制構築、2.については地域の医療資源の確認とネットワーク構築、3.については「サービス付き高齢者住宅」以外に増殖している多様な形の「高齢者が住んでいる(集めている)アパート・住宅」をどのように評価するのか、しないのかの課題、4.については地域包括ケアの中心的テーマの一つである「崩壊したコミュニティの再生」といった大きな課題を抱えています。形式的・アリバイ的計画化では、地域の抱えている課題を糊塗するだけで、禍根を残しかねません。

2 24時間対応の定期巡回・随時対応サービス事業

(23年度予算要求額:12億円 60区市町村/22年度先行実施、23年度はその継続として実施する。)
重度者をはじめとした要介護高齢者の在宅生活を支えるため、日中・夜間を通じて、訪問介護と訪問看護が密接に連携しながら、短時間の定期巡回型訪問と随時の対応を行なう「定期巡回・随時対応サービス」を創設。
  • 訪問介護と訪問看護が一体的、又は密接に連携しながら、短時間の定期巡回型訪問を行なう。
  • 一つの事業所から訪問介護・訪問看護を一体的に提供する、又は外部の訪問看護事業所と密接な連携を図って訪問介護を実施するなど、訪問介護と訪問看護の密接な連携を図りつつ実施する。
  • 地域密着型サービスとして位置付け、市町村(保険者)主体となって、圏域ごとにサービスを整備するようにする。

段落【モデル事業】

(事業の内容/1.~4.の事業実施は必須)
区市町村が行なう次の事業。なお、事業の周知、工法、運営及び管理を含む者とする。
  1. 定期巡回訪問サービス事業
    利用者に対して、予め作成された計画に基づき、日常生活上の世話を必要に応じて1日数回程度提供する事業、原則として、そのサービス内容を行なうのに要する標準的な時間が1回当たり概ね20分未満のものとする。
  2. 臨時の対応サービス事業
    利用者に対し、24時間365日対応可能な窓口を設置し、当該窓口に利用者からの電話回線その他の通信装置等による連絡又は通報等に対応する職員(以下「オペーレーター」という。)を配置し、利用者からの通報内容に応じて随時の対応(通話による相談援助、転倒時等における定期巡回訪問サービス事業以外の訪問サービスの提供、医療機関への通報等)を行なう事業
  3. 事業内容の検証等に関する事業
    区市町村の職員、地域住民の代表者、地域包括支援センターの職員又は有識者等による検討委員会を設置し、事業の企画並びに利用者の要介護度及び介護保険サービスに関するニーズの変化並びに本事業に要した人員体制について検証を行なう事業
※上記1.及び2.の訪問サービスは、介護福祉士、介護職員基礎研修修了者、訪問介護員1級課程修了者又は訪問介護員2級課程修了者により提供すること。
※2.のオペーレーターについては、看護師、介護福祉士、医師、保健師、社会福祉士、准看護師又は介護支援専門員を充てることとする。
※事業の実施に当たっては、配食サービスその他の生活支援サービス等の活用も併せ検討すること。

段落【モデル事業のイメージ】

     
 
  • 短時間の定期巡回による「利用者のニーズや生活スタイルに合ったサービス提供」を可能にする。
    (例:起床介助→昼食介助→服薬介助→水分補給→就寝介助→深夜の排せつ介助)
  • 24時間365日対応可能な窓口での随時対応による在宅における安心感の提供
  • 介護サービスと看護サービスの連携による一体的提供
 
     
(イメージ図)
モデル事業のイメージ図

認知症対策の推進について

(23年度予算要求額:27億円)

段落市民後見人の活用

今後、親族等による成年後見が困難な者が増加するものと見込まれ、介護サービス利用契約の支援などを中心に、成年後見の担い手として市民の役割が強まると考えられることから、市町村は以下の措置に努めることとする。
  1. 後見等の業務を適正に行なうために必要な知識を習得させるための研修
  2. 後見等の業務を適正に行なうことができる者の名簿の作成や家庭裁判所への推薦
  3. 後見等の業務を行なう者が適正に業務を行なえるよう支援する機関の認定

例:権利擁護に関する○○区の取り組み

     
  ○○区成年後見支援センター(区社協に委託)
事業概要
(相談支援等の業務)
  • 法律相談
    弁護士等による成年後見制度に関する窓口の設置(月2回)
  • 成年後見制度利用支援
    加齢等により成年後見の手続きが困難な方への必要書類の確認等の支援
  • 専門職後見人に関する情報提供
(市民後見に関する人材育成等の業務)
  • 市民後見に関する人材の育成
    個人で成年後見人を受任できる区民後見人を育成(参考研修50時間)
  • 貢献活動が可能と見込まれる案件について家庭裁判所へ区民後見人候補を推薦
  • 区民後見人が専任された場合に、後見活動に関する相談などの支援を行なう。
    区社協が後見監督人に選任
  • 後見活動は区長申立案件に限定
  • (参考)
    受任者類型25人(平成18~21年度)
 
     
市民後見推進事業 補助率 国10/10

段落その他の認知症事業

  1. 認知症地域支援施策推進事業について
    • 市町村認知症施策総合推進事業について
      認知症になっても住み慣れた地域で生活を継続するためには、医療・介護や生活支援を行なうサービスが有機的に連携したネットワークを形成し、認知症の人への効果的な支援を行なうことが重要。
      このため区市町村において、医療機関・介護サービスや地域の支援機関とつなぐコーディネーターとしての役割を担う認知症地域支援専門員を配置し、当該推進員を中心として、介護と医療の連携や、地域における支援体制の構築を図ることとする(目的)。
    • 都道府県認知症施策推進事業について
    • 認知症にかかる地域資源の連携についての検討事項について
  2. 徘徊・見守りSOSネットワーク構築事業の実施について
  3. 認知症サポーター等養成事業について
  4. 外部評価制度の適正な運用等について
  5. 認知症グループホームにおける非常災害対策について等

1 利用者への影響

段落「地域包括ケアシステム」下の生活について

先に述べたとおり、「地域包括ケアシステム」下の生活は、地域の人たちに支えられ、施設に入所しなくても(あるいはできなくても)、サービス付きの住宅や、24時間の訪問介護・介護サービスがあり、介護保険だけでなく、その他のサービスの積極的活用も図られて、安心・安全の生活ができることとなっています。 従って、そこではこれまでサービスの不足や施設の不足に悩まされ、介護問題が顕在化する中で、その問題の解消もイメージしています。 「地域包括ケアシステム」の絵に描かれたような環境が実現できるとすれば、安心・安全の暮らしが実現できる可能性があります。 「地域包括ケアシステム」を考えるとき、地域の有り様は多彩です。高度経済成長以降、人口の大都市集中という形での人口移動が進み、首都圏には全人口の約3割が居住し、その他地方の中心都市圏を核にした人口集中が進んでいます。近年、限界集落という言葉で表わされる「集落としての機能を果たし得ない」集落も全国に多数生まれています。従って、都市部と町村部という形式的な区分では実態を示し得ないと思われますが、考え方の整理のためにあえて使うと、図3-1のような形になります。日本の特徴として、人口移動があり、その上で都市集中があります。都市は「人間を自由にする」という言葉がありますが、一種匿名性=地域の絆の希薄化が特徴です。ただ、地域の絆の希薄化は、高度経済成長期には、終身雇用と年功序列型給与体系=日本型経営により、企業を核とした絆により代替されてきたといえます。しかし、バブル崩壊以降は日本型経営自体がネガティブなものとして、企業の絆も失われつつあります。地域の絆も企業の絆も絆が保ちにくい社会(NHKは無縁社会と形容)が現れつつあります。そのような状況下での「相互の助け合い」を基礎とする「地域包括ケアシステム」の構築は、理念的にはそうだとして、難易度は高いと思われます。
図3-1
現在の地域の特性が、ABCDのどこに入るのかによって、暮らしぶりは変わって来ます。やや強引ですが、あえて特性を示せば、以下のとおりとなります。

A = 人間関係が疎遠で、介護サービスも少ない。
B = 人間関係は疎遠であるが、介護サービスも必要最低量以上に供給されていて、かつその他のサービスも揃っている。
C = 良好な近隣・地域の関係が残っていて、サービス量の小ささを補っているので、生活はできる。
D = 良好な近隣・地域の関係が残っていて、介護サービスも必要最低量以上に供給されていて、かつその他のサービスも揃っている。

この状態では、B、C、Dであれば何とかなる状態と思われますが、Aは厳しい状態にあると思います。
住民同士の関係がフェイストゥーフェイスの地域では、自然と助け合いもあり、サービス量が(多少)少なくても、地域で暮らしていくことは、そうでない地域と比較して容易でしょう。 概ね、このようなイメージで考えると、地域包括ケアシステムがめざすものは、C+Aの合成、下図の赤の実線で囲んでいるレベルではないでしょうか。
図3-2
地域包括は、地域の人間関係の再生であり、コミュニティーの再生です。団塊世代が65歳を超え、75歳を超える頃には、会社人間からリタイアした団塊世代が、数多く地域に戻って来るので、そこで助け合いのコミュニティーを作り上げ、そこで支え合う地域社会を作り上げられるとの認識があると思われます

段落介護給付費の区分限度額について

次に、平成21年度に介護報酬単価が引き上げられましたが、要介護度別の区分限度額の引き上げが行われなかったため、介護保険のサービスの上限を超える要介護者の発生が想定されました。これを受け、事業者団体等からは上限額の引き上げの要望等が提出され、厚生労働省において検討をしてきた結果が社会保障審議会で公表されました。明確な結論付けはなかったのですが、以下のようにまとめられました。
     
 
  • (上限額の)超過者及び7~9割の者の週間ケアプランをみると、2種類以下のサービス利用のケアプランが多かった。また、利用しているサービスの種類では、訪問介護や通所介護など見守りを必要とするサービスの利用が多く、訪問看護などの医療系サービスの利用が少なかった。 略
  • 超過者の週間ケアプランについて、市町村におけるケアプラン点検者による評価によると「見直す余地がある」との意見が9割であった。なお、看護師である評価者と社会福祉士・介護福祉士である評価者では、週間ケアプランに対する意見が異なっていた。 略
「介護給付費分科会平成23年2月7日資料1から」
 
     
ここからみると、結論は多論表記となっていますが、ケアプランを見直すことで限度額で対応できる、ゆえに引き上げは必要ない、というトーンのように思えます。
1 費用
具体的に利用者について考えてみると、まず保険料等費用ですが、これはこの間喧伝されていたように、「このままでは5,000円を超える」とのキャンペーンのとおり、現行の全国平均の4,160円よりは確実に上昇することが見込まれています。ではいくらになるかについては、これからの制度設計にかかっています。今後、保険者による詳細な地域のニーズ調査、それに基づき国の整備指針等に基づく第5期介護保険事業計画を策定する過程で、最終的な保険者ごとの第1号被保険者の保険料が決まります。
1割の自己負担分については、訪問系サービスは1割負担ですが、通所系では食事その他日用品費の自己負担があり、既に1割を超えています。グループホームでは、利用者負担の平均が18万~20万円程度といわれており、事実上総事業費の4割以上の負担となっています。特別養護老人ホームの利用者負担についても、個室や食費負担等を含めると3割を超えていると思われます。
今後、介護保険以外の有償サービスを積極的にケアプランに位置付けるようになれば負担は現在よりも増すことになります。
これをどう評価するかは、人により異なると思います。少子・高齢化と財政難に着目すれば、「やむを得ない」との考え方が主流と思われますし、セーフティーネットあるいは「福祉国家」という観点からは、世界的にも低水準と思うでしょうし、その辺りは視点によって異なると思われます。
2 使い勝手(今よりサービスが多く使えるか)
サービス総量が要介護認定者の増加に比例する程度で、それ以上の増加がない中では使い勝手が劇的に良くなるということは考えにくいのが現状です。ただし、介護保険サービスやその他のサービスを活用して暮らしを支えるという「地域包括ケアシステム」が機能し、その上でサービス付き住宅や24時間の訪問介護サービスがあり、それらを訓練された「ケアマネジャー」が上手に使いこなすスキルを獲得していれば、相当の改善も期待されるのではと思われます。
図4 ケアの必要量図4は簡単なマトリックス図ですが、要介護度・認知症の状態地域によっても違うという前提の下で軽度重度あっても、例えば要介護度が軽くても、AとBでは暮らすためのケアは異なります。
例えばAの場合、要介護者の年齢、性格、認知度によっても本人の「生活力」は大きく異なります。一般的にはAよりもCの方が、入所施設の必要度が多いといえても、個別の事例としては逆もしばしばあることは、現場では周知のことです。


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